2016.3.14
ヘッドハンターからみた「絶対的な評価基準」(2016.3.15.)

私が職業紹介に携わるにあたり、
とても楽しみにしていたノウハウがありました。

「どういう基準で、ヘッドハンターは人を選ぶんだろう」

長年、何十人、何百人もの紹介をしてきた、
そういうヘッドハンターが何を基準にして、
ビジネスパーソンを評価して、紹介を進めるのか。
そこにある絶対的基準はいったい、どんなものか。

その頃、ずっと人事の仕事に携わっていた自分には、
非常に興味がそそられるテーマであって、
それはこの仕事を選んだ大きな理由の1つでした。

人事の仕事では、きちんとした人事評価の軸を定め、
1本の物差しの上に大方の従業員を並べてみた後、
いろいろなイレギュラーケースを個別に考える、
という流れで、評価制度を検討することが多いように思います。

とはいえ、ここで出てくる物差しは、
あくまでその会社での物差しでしかない。
広くあまねく一般的に、ビジネスパーソンを評価する場合、
そこにはどれだけ洗練された物差しが存在するのだろう。
私にとっては、本当に興味津々だったことを憶えています。

そして、結論を得て大いにガッカリしました。
なぜなら、「そんなものは存在しない」が答えだったのです。

理由も極めて当然です。紹介先が多岐にわたる以上、
すべてを網羅して当てはまる基準は、そもそも存在しない。
「転職できそうもない」というフィルタはありそうですが、
これも、実際には紹介先との面談までは全く分かりません。
だからヘッドハンターも、評価基準はみんなバラバラ、
というよりほぼ感性に頼っている方さえ、いらっしゃる。

きっと何かが見つかると思っていた自分にとって、
この解は大きなパラダイムシフトを迫るものでした。

そしてたどり着いた結論は、
採用する側の数だけ、多様な基準が存在しているのなら、
紹介する側も、できるだけたくさんの基準と観点から、
評価を説明できるようにした方がいいということ。

たった1社の、たった1人の単基準だけで、
誰かを評価し、物差しの上に並べることは、
紹介事業としても、評価される方にとっても、
実は機会損失につながっている、というのが答えなのです。

いつか、ものすごいAIが囲碁を制したように、
職業のマッチング分野もAIで自動化される、
と考えてしまう人は多いけれども、現場にいると、
それは全くの真逆であることが、よく分かります。

インターネットやITは、絶対的なものではありません。
固定されたルールやアルゴリズムで評価をすると、
一定のゲームでは勝利を得ても、絶対基準がない世界では、
見えないところで、何かを失っていることもあるのです。

このことが、私が起業するにあたり大切にしたことの1つです。
基準はいつも、人それぞれ。それぞれを大切にする必要がある。
だからこのビジネスは、最後までヒトが生き残るモデルになる。

そのためには、たくさんの基準を、アナログでもいいから、
できるだけ多く集めることが、職業紹介では大きな価値になる。
多面的でいろんな評価軸を持っていることで、
採用する側にももっといろいろな情報を提供できる。

もちろん、ひとりひとりのヘッドハンターは、
そして現代を生きるビジネスパーソンは誰もが、
個人としての基準、キャリアの評価軸を持つことが重要です。

それを周囲と較べながら、洗練させていくこと。
そしてお互いに価値があることを認めること。
難しい両立ですが、こちらの方が、単独の基準しかないモデルより、
世の中に大きな価値をもたらせると私は考えています。