2016.2. 2
最初の会社のDNA

月も変わったので、少し毛色の違う話を。

私は大学を出て、リクルートという会社に入りました。
最初の仕事はシステムエンジニア、という聞いたこともない話。
自分は数学には自信を持っていたものの、それは高校までの話。
大学は文学部でフランス史専攻だったので、思いもしない仕事でした。

もともとインターネットビジネスの最先端に取り組みたい、
そして当時は、衛星放送による多チャンネル化が始まって、
ネットからさらに進んだデジタルメディアに取り組みたいと、
そうした事業を始めていたリクルートを選んだのでした。
もちろん、そこに至るまでもっと紆余曲折ありますが、
それはまた、別にお話しする機会があるでしょう。

ともあれ、自分の社会人=会社員生活は、
SEのお勉強から始まって、ずーっと議事録をつけては、
よく分からない単語を先輩社員に聞き回る日々。

「DHCP」「クラサバシステム」「HTTP」「TCP/IP」...
とにかく意味不明な略語だらけで、奇々怪々。
「略語が出たら、必ず原義を調べろ」愚直に調べました。

ある日、ミーティングで「コースー」という言葉があり、
「なんにんげつ、なんにんげつ」とみんなが呟くので、
先輩社員に「コースーって...中国語ですよね」と聞いてしまい、
大笑いされたこともあります。いまでは単なる想い出ですが...。

議事録では、「てにをは」を綿密にチェックされて、
句読点がひとつでも残っていると呼び出されます。
「議事録に句読点をつけるか、つけないか、ハッキリしろ!」
そんな細かいこと、誰のためにやっているんだ、と、
イライラしながら指示に従って、オフィスにいました。

プロジェクトと同様に、時間を自分で組み立てて、
自分の仕事もきちんと計画、方法論でとにかく検証、
バッファをもって行動せよ、コピーは全部2in1で両面にせよ、
とにかく細かいこと、細かいこと、当時はイヤでイヤで、
本当に毎日アタマに来ながら、仕事をしていたと思います。

いまになって?ええ、コピーは両面2in1ですよ。
何か知らない単語に出くわすと、いまやスマホがあるので、
その場でコッソリ辞書を調べて、スペルを確かめます。
会議だったら、その場で「それなあに」と聞きます。
議事録どころか、どこでも句読点が揃ってない文章を見ると、
なぜだかイラッとする自分がいて、ますます自分にイライラします(笑)。

最初の会社、特に最初の仕事場で培われたDNAというものは、
そこから先、どんな仕事場に行こうと、違う会社に行こうと、
絶対についてまわってしまうものだと思います。

これだけは、どんな方のキャリアを伺っていても否めません。
「最初の会社、最初の職場」は、相手を理解する糸口で、
それぞれの会社や職場の特性を知っておくことは重要ですし、
それが分かっていれば、次の職場での適応力についても、
自ずとイメージができていくものだと思います。

もちろん、それが良いか悪いかは場合によります。
「リクルート出身者は...」とよく言われるのですが、
ハッキリ言って、リクルートの出身者もいろいろですし、
自分は当時、いつも「世古はリクルートらしくない」と、
半ば呆れられたかのように、言われていたように思います。

でも、確かにリクルート出身者で、社外で活躍している場合は、
みな似たような雰囲気があるので、なんとなく分かります。
とにかく議論が好きで、何かを確かめたがる人々で、
馬力もあるけど、いつまでも分析していたりもしていて、
しかし社外で活躍している場合は、そこで決断できる、
ちょっとした自信を自分に持っている人が多いです。
クオリティは関係なく、決断できるところが強みなのかな。

私はずっと「リクルートの人だよね」と、
退職してから15年経ったいまも言われるので、
最近は慣れてきましたが、最初は本当にイヤでした。
でも、この仕事をして良く分かったのです。
それは確かに、誰かを理解する糸口になりうる。
だったら、何もないよりはいいか、と。